真央さんとタラソワ先生の愛の絆

産経WEST
真央とタラソワの愛の絆 世界を感動させたソチ五輪フリーの秘話
配信日時:2017.4.17 07:00
http://www.sankei.com/west/news/170417/wst1704170005-n1.html

170421-3-1.jpg
ソチ五輪のフリーで迫真の演技を披露する浅田真央(大里直也撮影)

 現役を引退した浅田真央選手(中京大)は日本だけでなく、世界中のフィギュアスケートファンに愛された。海外メディアも一斉に引退を報じ、AP通信は本人が最も印象に残っている演技に挙げた2014年のソチ五輪のフリーについて「メダルは勝ち取れなかったが、多くの人の記憶に残るパフォーマンスだった」と表現した。ラフマニノフの名曲に乗って見事に跳んだトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と、終了後に感極まって流した浅田の涙は世界中の人々を感動させた。(佐々木正明)

 「小鳩」のロシア語に込めた思い

 「私の小鳩よ。頑張るのよ。頑張るのよ」

 2014年2月、ロシア南部ソチで行われたフィギュアスケート女子フリー。五輪会場のリンクに登場したまな弟子の姿に、地元テレビ局の実況席にいたフィギュアスケートコーチ、タチアナ・タラソワは、絞り出すような声で呼びかけた。

 「小鳩」はロシア語で両手で包みたくなるような「いとおしい女の子」を意味する。この表現に、浅田に対するタラソワの思いが全て凝縮されていた。

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、浅田と一緒に選んだ曲目だった。2人の絆は、コーチと選手の間柄で臨んだ前回大会にまでさかのぼる。タラソワ自身、日いづる国に現れた天才少女のことは、10年以上前から知っていた。

 浅田が銀メダルを獲得した10年のバンクーバー五輪ではコーチを務め、ソチでは、このフリーの演技の振り付け役となった。ロシアフィギュアスケート界の重鎮が、自国初の冬季五輪で、直接の師弟関係にない外国人選手に関わることには物議があった。

 しかし、タラソワは前年夏に直接、頼みに訪れた「真央の真摯(しんし)な気持ちを断ることはできなかった」という。

 SPでは16位。まさかのジャンプの失敗にタラソワは言葉を失った。

 浅田がこの4年間、つらい練習に耐え、どれだけソチ五輪にかけてきたかを知っているからだ。演技直前、タラソワは静かにつぶやいた。

 「力を奮い起こしなさい。私のかわいい真央、さあ、行くのよ。真央…」

 演技の冒頭、真央が代名詞のトリプルアクセルを見事に決め、次々にジャンプをこなすと、タラソワの声は一気に明るくなった。自らが教えた世界最高峰の舞いを、氷上の浅田は余すところなく体現していた。

 ラフマニノフの旋律と2人の涙

 タラソワはいつの間にか席から立ち上がっていた。ただ拍手していた。エンディング。大粒の涙を流す浅田を前に、「辛くて見てられないわ」と一緒に泣いた。

 けなげに会場に笑顔を振りまく浅田に、次から次へ感謝の気持ちが口をついて出てきた。

 「真央。本当にありがとう。よくここまで仕上げたわね。あなたは素晴らしいスケーターよ。自分に打ち勝ったの」

 そうして、2人の2度目の五輪は終わった。ラフマニノフの旋律と4分間の華麗なドラマを、世界中のファンの記憶に刻んだ。

 忘れられぬエピソードがまだある。

 浅田の卓越した演技と熱心な練習への姿勢は、フィギュア王国のロシアのスケーターにも大きな影響を与えていた。

 ソチ五輪の女王となった地元ロシアのアデリナ・ソトニコワとコーチのエレーナ・ブヤノバが競技から一夜明け、200人以上の記者が集まったメディアセンターで会見を開いた。浅田の演技についてどう思うかを2人に聞いた。

 まず答えたのはブヤノバだった。ブヤノバはタラソワから薫陶を受けた弟子でもある。

 「私たちと真央の関係はもう長いのよ。私たちの間には友情の結びつきがあって、真央はね、よくアデリナを彼女のショーに招待してくれた」

 「私が言えるのは、真央ほど練習に取り組むスケーターは見たたことがないと言うこと。彼女は本当に休暇を取ることなく滑るのよ。ロシアの選手でそんなことができる選手はいない」

 「真央には心理的なプレッシャーがあった」

 「今回、起こったこと(優勝を逃したこと)は国民的な悲劇だったと思う。なぜなら日本人は彼女のことを愛しているから。彼女はヒロインよね。私たちは、エキシビションのときに、いかに日本人が真央を好きなのかということを見てきた。でもこんなことが起こってしまった」

 「彼女はソチ五輪を長いこと待ってきたの。恐らく心理的なプレッシャーがあったのね。重荷だったのね。誰でも耐えられることではないのよ。それでも、彼女はラフマニノフのフリーをよく演じきった。素晴らしい演技でした。彼女が偉大なスケーターであることを示してくれた」

 司会者がこれで十分だと思って、次の質問に行こうとした。しかし、ソトニコワが「私も答える」と司会者に目配せして、マイクを握った。金メダリストから発せられた感動的な言葉だった。

 「私は真央を心から尊敬している。私にとって真央は模範でした。真央は我慢強くて、彼女が背負ってきた困難を乗り越えることができる人。私は真央と一緒の場にいることができて幸せでした。なぜなら、真央が卓越した人だったから」

 タラソワは50年以上もリンクに立ち、ロシアのフィギュアスケートの発展を支えてきた。タラソワの情熱なくして、フィギュア王国の成り立ちはあり得なかった。

 そのタラソワにして、「男子のような演技をする真央は、私のスケートの概念を変えてくれた」と語らせた。

 タラソワから浅田へ。そして、浅田から次の世代へ。フィギュアスケートの情熱はまた継承されていき、そのドラマは再び世界中の人々の心を打つのである。

産経WEST
元コーチのタラソワさん「これからの人生の成功を祈っている」「今も真央が好き」
配信日時:2017.4.11 08:20
http://www.sankei.com/west/news/170411/wst1704110021-n1.html

170421-3-2.jpg
銀メダルを獲得したバンクーバー冬季五輪の公式練習中に笑顔をみせる浅田真央と、タラソワさん=2010年(塩浦孝明撮影)

 フィギュアスケート女子の2010年バンクーバー冬季五輪銀メダリストの浅田真央(26)=中京大=が現役引退を表明したことについて、バンクーバー五輪でコーチ役を務めたロシアのタチアナ・タラソワさん(70)が10日、産経新聞社の電話取材に応じ、「真央は素晴らしい女性。これからの彼女の人生の成功を心から祈っています」と語った。

 ロシアのフィギュア界の重鎮で、コーチとしてこれまで数々のメダリストを生み出してきたタラソワさんは2007年より浅田とコンビを組み、曲目の振り付けに加え、演技やジャンプを指導。モスクワから浅田のために作った大会の衣装なども送り、長年の間、世界の舞台で活躍する浅田の競技人生を支えてきた。

 「真央はとても練習熱心で、才能あふれる選手でした。私たちは一緒に頑張って、良い成果を残したと思っています」とタラソワさん。3年前のソチ五輪の時は、浅田のフリーのラフマニノフの曲目の振り付けを担い、大会のとき、自身はロシアのテレビ番組の解説者役を務めながら、会場で浅田の演技を見守った。

 タラソワさんは「私はソチ五輪のときに、真央が素晴らしい演技をして、思わず泣いてしまった。私は今でも真央のことが大好き。これからも彼女の幸せを祈っています」と語った。(佐々木正明)

浅田真央 ソチFS ~ タラ解説、高音質、ベストアングル集約の永久保存版

http://www.nicovideo.jp/watch/sm24362120

タラソワ先生は外国人の先生だし、ずっとつきっきりで見てくれることはなかったけど、振付や衣装はとっても素敵だった。真央さんはタラソワ先生に師事して、より優雅な演技をするようになったので、非常に成果のある師弟関係だった。

そして、何より真央さんとタラソワ先生の愛情溢れる関係に感動を覚える。言葉の壁があるけど、自分の振付を最高に演じてくれる素晴らしい選手と自分の新たな一面を引き出してくれる先生。

それから、タラソワ先生の周りのアデリナ・ソトニコワとコーチのエレーナ・ブヤノバさんと真央さんの関係も素晴らしい。才能のある人同士、その才能を認め合う。また、練習を一緒にして、練習から学び取る熱心さ。

真央さんの事を心配してくれる人が世界中にいて良かったよ。国を超えて誰からも愛されるキャラクター。フィギュアスケートは内面を表すスポーツ。内面が美しくないと、美しい演技はできない。
関連記事
スポンサーサイト
page back