2016年全日本選手権 LP⑥

スポーツナビ
真央「選手である以上、挑戦が必要」 競技者として貫くプライド
投稿日時:2016年12月26日(月) 12:12
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201612260002-spnavi

トリプルアクセルは2本ともミス

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涙に暮れたGPシリーズ、全日本は12位。しかし、戦い続ける彼女はもう、下を向いてなどいなかった。写真は11月フランス杯【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 浅田真央(中京大)にとって14回目となる全日本選手権は、過去最低の12位に終わった。合計得点は174.42点。優勝した宮原知子(関西大)には、実に40点もの差をつけられ、世界選手権の出場も逃した。

「この全日本では自分の滑りや、目標としていたことを全部やりたかったんですけど、それができなくて残念です」

 ショートプログラム(SP)後には、8位スタートながら笑顔も見せていた。だが、フリースケーティング(FS)後は悔しさをかみしめつつ、何か達観しているような表情を浮かべていた。浅田は言う。

「まだ終わったばかりなので、次という気持ちにはなれないんですけど、今回は自分が今までやってきた最高のレベルで臨みたかったので、その状態にまで戻せたことは良かったと思います」

 その言葉どおり、この全日本ではSP、FS共に自身の代名詞であるトリプルアクセルに挑んだ。同時にプログラムの難易度も上げており、それをこなせる状態にまで調子が戻っていたことを裏付ける。トリプルアクセルは2本とも失敗し、その他のジャンプにもミスがあったものの、演技構成点は宮原に次ぐ2位。地力はしっかりと見せた。

 ジャンプさえ跳べれば点数はおのずと上がってくるのだが、今季はそれがうまくいかない。左ひざ負傷の影響もあるのか、スピード、高さ共にこれまでのシーズンと比べて劣っているように見える。

高得点なだけに失敗すると……

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SP、FSの両方で、トリプルアクセルに挑んだ【坂本清】

 休養明けから復帰2年目のグランプリ(GP)シリーズは、スケートアメリカで6位、フランス杯で9位と不本意な順位に甘んじた。ジャンプは跳ぶのが精いっぱい。フランス杯では演技後に、「すべてが失われた。スケーティングもジャンプも、全部がしっくり来ていない」と、涙に暮れた。

 それを考えれば、全日本までの1カ月ちょっとの間で、トリプルアクセルをプログラムに組み込む状態にまで調子を取り戻すことができたのは、彼女のたゆまぬ努力に他ならない。満足いく練習を積み重ねてきたようで、その手応えもあったのだろう。大会前日には「今季の中では最も調子が良い」と、口調も滑らかだった。SP当日の公式練習では、トリプルアクセルを成功させ、復活への機運は高まっていた。

 しかし、練習と本番は違う。緊張感が高まる中では、まだ跳べる状態ではなかった。SPはシングルアクセルになり、FSでは両足着氷から転倒した。トリプルアクセルはリスクの高い大技だ。跳べれば高得点(基礎点は8.5点)が付き、勢いにも乗れるが、失敗すれば点数にも体力にも影響する。

 女子のSPではダブルアクセル以上を跳ばなければいけないため、シングルでは0点になる。浅田はSPでジャンプ1つ分の点数を失ってしまった。FSでも回転不足と転倒により、GOE(出来栄え点)でマイナス評価を受け、1.80点しか得られなかった。全神経を集中させなければ跳べない大技。それに失敗すると、その後の演技に影響が出るのは当然とも言える。

 事実、浅田がFSで跳んだ他の6つのジャンプで加点が付いたのは、3回転ルッツと3回転ループの2つだけ。あとの4つは回転不足を取られたり、転倒したりとミスが出た。そうした中でも、スピンやステップでレベル4を取るのはさすがだが、それだけにジャンプの失敗が悔やまれる。

リスクを冒す、その理由

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佐藤コーチも、浅田の競技者としての思いを見守っている【坂本清】

 多くの選手が、トリプルアクセルをプログラムに組み込めないのも、習得していないこともあるが、こうしたリスクを回避する目的もある。勝負が懸かる以上、確実に点数を取りにいくことが求められる。しかし、浅田はあえてそのリスクを冒す。それは競技者としての彼女のプライドでもある。

「選手であるからには、現状維持ではなく、自分ができる最高のレベルで臨まなければいけないし、常に挑戦をしていく必要があると思っています」

 トリプルアクセルについての考えを聞かれると、浅田はそう答えた。もちろん今季のGPシリーズのように、コンディションが悪いときに回避する柔軟さは持っている。それでも跳べる状態のときは、たとえ勝負が懸かっていても、積極的に挑んでいくのが浅田という選手のスタイルなのだ。だからこそ多くの選手が彼女に憧れ、ファンの支持も得られる。

 以前、浅田を指導する佐藤信夫コーチはこう言っていた。

「トリプルアクセルは彼女にとっての“夢”なんです。それを誰が取りあげられるのでしょうか。僕にはできない」

 浅田が今大会に臨むにあたり、佐藤コーチは「自分の思い通りにやりなさい」と伝えたという。そして浅田はトリプルアクセルに挑み、失敗した。しかし、浅田に後悔はない。SP後には「トリプルアクセルがない状態で終えたときよりも、挑戦できた今回の方が気持ちよかった」とさえ言ったぐらいだ。

演技全体をまとめる方法はあるが

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「常に挑戦」。浅田真央の魅力が、この言葉に詰まっている【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

3連覇を飾った宮原を筆頭に、今大会の表彰台を飾った3選手はすべて10代。伸び盛りの若手に対して、26歳の浅田は岐路を迎えている。12位に終わったことで、シーズン後半に行われる国際大会の出場は逃した。浅田自身も今後の試合については「終わったばかりなので、もう少しゆっくり考えたい」と話している。現役続行は明言しているが、後半戦のスケジュールは未定だ。

 2018年の2月に行われる平昌五輪を考えれば、小さな大会に出場して、試合勘を養っておく必要はあるかもしれない。その一方でケガを完治させ、来季の準備をいち早く進める選択肢もある。いずれにせよ、日本代表からの落選をポジティブに受け止め、時間を有効に使っていくべきだろう。

 浅田自身も「選手としてやるからには五輪を目指したい」と目標に掲げており、来季はそれに向けた戦いとなる。出場権を得るためには、各大会で確実に結果を残していくしかない。果たしてどうするのか。

 演技構成点はきちんと取れているだけに、アクセルをトリプルからダブルにして、全体をまとめる方法はある。そうすれば点数自体ももう少し上がるかもしれない。だが、彼女はきっとそれをよしとはしないだろう。むしろトリプルアクセルを決めるためにはどうすべきかを考えるはずだ。

 競技者としてのプライドはあくまで貫き通す。それが浅田真央という選手なのだから。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

今大会ではルッツに加点が付いた事が収穫の一つだった。国内大会だから甘目なのかもしれないけどね。亡国の嫌がらせでルッツの踏切りエラーを取られ続け、プログラムから外さざるを得なくなったからね。

真央選手は手堅くまとめて高得点を目指すより、自分のできる事をするというファイターという点が魅力。真央さんが点取り虫だったら、ここまで人気はないと思う。

今季は早くにシーズンが終わってしまったけれど、来季に向けての準備が早くできるので、良かった思う。全日本でトリプルアクセルに挑戦して、練習では着氷していたのだから、ここまで左膝を回復できた事は来季に復活するという兆しでしょう。

現役継続を表明してくれた真央さんの来シーズンも目が離せません。頑張ってね!(`・ω・´)尸 ガンバァ━━!!!!
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