失敗が教えてくれること②

(Θ´∀`)σ①からの続きだよー★
「利益獲得型」と「損害回避型」

 浅田選手がフリープログラムで復活をとげたもう一つの理由は、ショートプログラムでは誤っていた現状認識を、フリープログラムでは正しくおこなえたことであると考えることができます。

 そのことを説明するには、二つのキーワードが便利です。一つは「利益獲得型」で、もう一つは「損害回避型」です。

 これら二つのキーワードは、人が直面する課題の性質や、そうした課題に取り組むときの心理を端的に表したものです。

 例えば、スポーツ選手がスポーツに取り組むとき、あるいは、ビジネスパーソンがビジネスに取り組むとき、彼ら彼女らが直面する課題は大まかに二つに分けられます。

 一つは利益獲得型の課題で、もう一つは損害回避型課題です。

 利益獲得型の課題とは、例えば、山師の仕事です。一攫千金を夢見て鉱脈を探し求めるといったものです。1回でも失敗をしなかったら莫大な富が得られる代わりに、その陰には9回の失敗があったりします。

 つまり、利益獲得型の課題とは、失敗が許されるものといえます。

 一方、損害回避型の課題とは、踏切番の仕事です。列車が通過する度に遮断機を下ろしたり上げたりして、踏切を渡る人たちの安全を守るといったものです。ふつうにやれば10回やって10回とも失敗をしない代わりに、たった1回の失敗で再起不能の損害を被ったりします。

 つまり、損害回避型の課題は、決して失敗が許されないものです。

 これら2種類の課題に取り組むには、それぞれに見合った心理状態になることが必要です。

 それぞれ「利益獲得型の心理」「損害回避型の心理」と呼びましょう。

 利益獲得型の心理とはチャレンジ精神に溢れた「良い緊張」に満ちてます。「トップをとってやるぞ!」「歴史に残る仕事をするぞ!」といった気概に溢れています。(ただし、度が過ぎると向こう見ずとなります)。

 一方、損害回避型の心理とは、常に再起不能の損害を想定し、石橋を叩いて渡るような姿勢です。「何かおかしい。危険だ」と感じたときには、あえて渡らないようにするくらいの決断力も持ち合わせます(ただし、何かが狂うと「悪い緊張」に飲み込まれます)。

 例えば、何かを追いかけている人は、利益獲得型の心理にあります。「いっちょやってやるか!」「ダメでもともと!」と勇ましい。本来の倍以上の力を発揮したり、します。

 逆に、追われている人は損害回避型の心理にあります。「ちょっと待ってくれ、何か変だ」「絶対に失敗はできないんだ」と縮こまってしまう。本来の力の半分以下しか発揮できなかったりします。

 浅田選手の話に戻りましょう。
 私は、浅田選手の一夜にしての復活は、損害回避型の心理から利益獲得型の心理へとスムーズにスイッチできたことによるものであると考えています。

 「絶対に金メダルを取らなければならない」というお気持ちから「自分の最高のパフォーマンスを見ていただこう」というお気持ちになったからこその復活だったのではないでしょうか。

 それは、誤解を恐れずにいえば、浅田選手がアスリートである前にアーティストであろうとした、ということです。

 世界のトップアスリートがオリンピックで求められるものは、利益獲得型の心理です。
当然、想定される「利益」は「金メダルを取る」に代表される好成績です。

 ソチオリンピックの浅田選手は、「絶対に金メダルを取らなければ」との思いが強すぎて、損害回避型の心理に陥っていたと考えられます。

 その結果、強い不安を覚え、悪い意味で緊張してしまい、ショートプログラムで失敗されてしまった。その時点で、「金メダルを取る」という利益の獲得は、ほぼ絶望的になってしまいました。

 ところが、その現状を正しく認識された浅田選手は、利益獲得型の課題をご自分で次のように設定し直されたのではなかったでしょうか。

 「金メダルは絶望的になってしまった。それでもなお私を応援してくださるファンの方々がいる。その思いに応えよう。自分の最高のパフォーマンスを見ていただこう」

 もしそうならば、浅田選手が損害回避型に陥ってしまっていたご自分の心理を利益獲得型に引き戻せたことは、極めて自然な成り行きです。

 「アスリートである前にアーティストであろうとした」というのは、誠に的を射た対策だったということになります。

 浅田選手の一夜にしての復活は当然の成果だったといえるでしょう。

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