みどりさんの言葉

Number 846号 2014年1月30日発売

「天才少女現る!の衝撃」
伊藤みどり(プロフィギュアスケーター)

 小学生の真央ちゃんに会ったのは、名古屋のリンクでした。自由奔放なタイプで、一人でマイペースに練習する姿に秘めたる潜在能力を感じていました。

 たくさんの子どもが滑っていても、真央ちゃんには思わず目が行く。ダイヤの原石のようで、どこまで才能を伸ばすんだろう、とすごく期待したのを覚えています。“天才少女、現る!”と衝撃でした。

 プロスケーターとしてトリプルアクセルを練習する私を見て、その頃からアクセルを見よう見まねで器用に跳んでいましたね。その後、トリプルアクセルまで身につけ、こだわり続けているのは、尊敬すべきことです。女の子だから体型の変化などで跳べない次期もあるけれど、真央ちゃんは失敗してもフォーム修正して跳ぼうとする。そうやって進歩させたアクセルをソチ五輪シーズンに間に合わせてきた。昔に比べると、踏み込みやスピード、ダイナミックさがよくなっていると思います。

 基本理論は同じでも、私と真央ちゃんの高速回転するアクセルは、体の使い方や降りるときのバランスの取り方がとてもうまい証拠。私にはない才能です。

 今は、五輪のフリーでアクセルを2本入れるかどうか考えていることと思います。私もアルベールビル五輪のときに悩みました。現地に入ってから、アクセルの調子が悪くなってしまったからです。当時はクリスティ・ヤマグチという、美しく完全無欠な演技を目指す選手がいて、彼女はほぼ間違いなくノーミスの演技をする。じゃあどうするか?金メダルを獲るために、私はショートでアクセルを回避したんです。フリーでも1本目で転倒して、万事休す。自分でも、よくあの場面で2本目を跳んだなと思います。あのとき成功してなかったら、人生が変わっていましたね。

 だからといって、真央ちゃんがどうするかは別の話。ルールもあの頃とは違います。ただ、クリスティと私の関係は、キム・ヨナと真央ちゃんの関係に似ているかもしれません。ヨナさんは、大きなミスなく演技する可能性が高く、強い選手。そこでどんな作戦を立てるか・・・・・・。いずれにしても、この4年間、信夫先生と頑張ってきたものを出して、悔いのない演技をしてくれればいいなと思います。

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