正直に採点すれば、何も恐れるものはない③

―― 浅田真央については、どう思いましたか?

クリック マオについては、子どものときからずっと見てきました。若いころの彼女には最高のスケーティング技術がありました。ショパンの「ノクターン」のプログラムの素晴らしさは未だに忘れられないものです。ロシア人のコーチになってから、彼女のスケーティングが重くなり、その良さがあまり生かされなくなったように感じます。その後、3アクセルへのこだわりが強くなって、迷っているように見えた。昨年度はお母さまのこともあり、きっと大変な思いを乗り越えたのでしょう。そして今年、彼女はまた変わりました。SPはミスがあったけれど、プログラムの内容はとても良かった。ローリーとはまだ直接話していませんが、おそらく彼女を元気付けるものを与えたいと思ったのでしょう。まだ完全ではないけれど、かなり立ち直ったように見えます。それと一時期痩せすぎてしまったけれど、体型が元に戻ってよかったと思います。年齢制限で出場できなかったトリノ五輪当時から、彼女は本当にたくさんのことを乗り越えてきた。ソチではベストな演技をして欲しいと思っています。

―― キム・ヨナとの対決になると予想されますが、勝つことはできると思いますか。

クリック もちろんどの選手だってヨナに勝つことはできますよ。ヨナには素晴らしいジャンプがあるけれど、マオだってそうです。最後は自信の問題でしょう。自信というのはいくら他人から褒められても、外側から来ることはできないんです。本人の中から出てこないといけないもの。自分で感じて、自分で信念を持たなくては。マオはいろいろな方向に行ける幅の広いスケーターです。ヨナはジャンプが強いけれど、レパートリーはあまり多い選手とは言えない。それぞれが本人の良さを存分に生かして欲しいです。

―― 採点方式が今後行くべき方向性など、教えてください。

クリック 5コンポーネンツという具体的な道具が増えたことは良かった。先ほども言いましたが、技術面ではスピンの評価に改善の余地があると思います。それからスピードを計る評価がまったくないことは、問題です。どのようにしてそれをやればいいのかわからないけれど。ストップウォッチで計るわけにはいきませんが、スピードというのはスケートのとても大事な要素ですから。スピードと質を両方保つというのは、大変なことです。ステップシークエンスは特に男子において見ごたえのある要素でしたが、コリオステップを作ったのは間違いだと思いました。何もやっていない選手もいる。ステップシークエンス2つで良かったのにと私は思います。コンポーネンツに関しては、スケーティング技術はいいとして、トランジションはよく理解されていないかもしれません。トランジションというのは、エレメンツの合間に何か違った動きをやてみせることではなく、エレメンツ間を繋げていく動きのことなんです。パフォーマンスはエネルギー、存在感、スピード、体の動かし方など多くのことが含まれます。コリオグラフィー、インタープリテーションに関しては問題ないでしょう。でも正しく使わなければなりません。

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―― 今後、セミナーなどジャッジの教育についてはいかがでしょう。

クリック これまでもセミナーをたくさんやってきましたが、その場では多くの人々から良い反応をもらいました。だから現場でそれが必ずしも生かされていないのは、なぜなのかわからない。若い世代の人たちは最初からこのシステムから入ってくるので、上の世代よりももっと適応できるかもしれません。細かい部分で、まだまだこれからジャッジ側の課題も出てくることと思います。

(2013年3月、ロンドン世界選手権にて取材)

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