おもてなし③

Yahoo!ニュース:個人
滝川クリステルさんの「おもてなし」プレゼンの中身はカラッポ
投稿日時:2013年9月9日 19時26分
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamadajun/20130909-00027975/

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■ 流暢なフランス語、ご本人の魅力で大成功

 今回の東京五輪招致成功の決め手は、滝川クリステルさんの最終プレゼンにあったという見方が強い。また、評判もすごくいい。しかし、本当にそうだろうか?

 私は全然違った見方をしている。

 それは、プレゼンそのものではなく、その中身が、まったく無味乾燥、もっと言えば事実に反しているからだ。

 滝川さんのプレゼンそのものは、聴衆の「情感」に訴える素晴らしいものだった。流暢なフランス語を駆使し、身ぶり手ぶりで日本の良さを表現し、IOC委員の心を動かしたのは確かだ。髪型もイヤリングも素晴らしかったし、青いスカーフも似合っていた。ご本人の魅力、そして、演出は最高だった。

 しかし、「おもてなしの心」に続く、そのスピーチの中身は、日本人自身がつくりあげた、一種の幻想だ。

■ 「現金を落としても必ず戻ってくる」は本当か?

 「東京はみなさまをユニークにお迎えします。日本語で『おもてなし』と表現します。それは訪れる人を慈しみ、見返りを求めない深い意味があります」

 と、そのスピーチは始まった。そして、次のようなことが語られた。

 「もしみなさまが東京で何かを失くしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。たとえ現金でも。実際に昨年、現金3000万ドル以上が、落し物として、東京の警察署に届けられました」

 「東京は世界で最も安全な都市です。街中の清潔さ そして、タクシーの運転手の親切さにおいてもです」

 これは、本当だろうか?

 私の周囲にいる東京在住外国人たちは、「違う」と言う。

■ おもてなしの心は従業員の犠牲のうえに成り立っている

 「日本人はよくおもてなしと言い、日本のサービスは最高と自慢する。しかし、東京にはチップの習慣がない。ということは、そのサービスの分は価格に含まれていることになる。それをおもてなしでごまかしている。日本のサービス業に従事している人たちは、その分、ソンをしているのだ。おもてなしの心を強いられて、安い料金で働かされている人たちはかわいそうだ。おもてなしは、そういう人たちの犠牲で成り立っている」(米紙の記者)

 「世界で最も安全。それはどの都市でも場所による。東京ぜんぶが安全ではない。いちばん安全なのはアジアではシンガポールだろう。清潔さにおいてもシンガポールのほうが上だ」(外資金融マネージャー)

 「私は現金10万円入りの財布を落とした。それですぐ届け出に行くと、財布はすでに届けられていた。しかし、現金は抜かれていて、カードやIDだけ残っていた」(外資金融マネージャー)

 「それは、IDやカードが英語で、使えないし、使ったら危ないと思ったからでしょう。中国だと、全部抜かれて、財布は捨てられてしまいます。東京はIDやカードだけでも戻って来る分ましですよ」(中国人留学生)

 「たしかに東京のタクシー運転手はみな親切で、ぼったくりがないから、安心して乗れる。でも、問題がひとつある。それは、運転手がみな老人だということだ。英語があまり通じないのは仕方ないが、重い荷物となると、運んでもらえない。チップがないから仕方ないけど、それでも運ぼうとしてくれるので、気の毒になる」(外資金融マネージャー)

 「私も運転手が老人だと不安になる。あまりにも年の人だと、事故にあったらどうしようと思う。日本は高齢化が進んでいる。すでに高齢化率は20%を超えている。7年後が不安だ」(米紙記者)

■ 世界一高齢化が進む都市で開かれる初めてのオリンピック

 というわけで、こうした見方に対して、みなさん、どう思まわれますか?
 ちなみに、2020年、日本の総人口は1億2411万人に減り、そのうちの高齢者人口は3456万人、高齢化率は30%に迫ると推定されている。老人ばかりの街に、世界から若いアスリートと観客が大挙してやって来る。2020年東京オリンピックは、世界一高齢化が進む都市で開かれる初めてのオリンピックになる。

山田順 作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー
1976年立教大学卒業後、光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年退社。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙と電子の両方の出版プロデュースも手掛ける。専門分野はメディア、経済、ビジネス。著書に『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『円が消滅する日』(日文新書)『新聞・出版 絶望未来』(東洋経済新報社)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『すべてを手にれた1%の人々はこう考える』『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ともにヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク)など。

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山田順さんのコラムを読んで、悲観的な気持ちになる。
しかし、同意する点は、日本人は楽観的すぎるというか、リスクヘッジの概念がないと思う。
サービスは受ける側が神様というぐらい威張っているのは確か。
ヨーロッパではレジの人が座りながらレジ打ちすると聞く。
あるいは立っててもちんたらちんたらと長蛇の列なんかお構いなしに自分のペースで作業する。

日本はまだ労働者の権利は低いし、高齢者が働いているのは社会保障が手薄いからね。
でも、前向きに捉えると体がなまるぐらいなら最期まで働いて生きたいという考えもある。
その反面、高齢者が雇用されると、若者が雇って貰えず世代交代が滞る。

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)
「空気」と「世間」 (講談社現代新書) 新書 – 2009/7/17
鴻上尚史 (著)

「落し物が戻ってくる」件についてピピッときたのが、鴻上尚史さんのある一冊の本のくだり。

この本は「世間」学の阿部謹也氏と「空気」の研究家の山本七平氏を引用しながら、鴻上さんが文科省の国費留学生でロンドンに行った経験を踏まえて日本の空気を読む(KY)について書いている。

ある外国人が電車の中で鞄を置き忘れた。慌てて取りに戻ってみると、そのまま座席に置いてあり、何も盗られていない状態で見付かった。自国ではあり得ないと感動して、日本はいい国だとしきりに絶賛していた。

しばらくして、その人と再会すると、今度は日本人は冷たいと言う。

その人曰く、「日本人は他人に無関心だから、鞄が置いてあっても何も触らないだけで、道徳心から治安がいいのではないのではないか?」というような内容が書かれていた。
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