氷上の光と影③

(・∀・)つ②からの続きだよ~♪

P52  競技会場で起きたこと

 2002年2月11日、ソルトレイクシティのデルタセンターでペアのフリーが開催された。トップ4組の最終グループ中、ロシアのベレズナヤ&シハルリゼは2番目の滑走だった。果たしてきちんと滑るだろうか。不吉な予感がしたのは、根拠がないことではない。

 彼らはもともとスケートの質は文句なしに世界一と言われながらも、決して本番に強いチームではなかった。しかもわずか10分前に、アントン・シハルリゼはほかの選手と接触事故に巻き込まれたのである。当たってきた相手は、因果なことに最大のライバル、カナダのサレ&パレティエのジェイミー・サレだった。

 ウォームアップ終了まであと1分というとき、ベレズナヤとサイドバイサイドのスパイラルをしていたシハルリゼに、サレが斜め横から突っ込んできた。彼はバランスを崩して両手をつき、サレもその場で腹部を抑えてしゃがみこんだ。

 しまった、やられた。

 瞬間、そう思った。もちろんこれは事故である。正気のスケーターが、試合直前に自分が怪我をするリスクを冒して故意にライバルに激突することなど、ありえない。

 現場を目撃した元全日本チャンピンの五十嵐文男氏は、「避ける責任はどちらにもあった。だが強いていえばロシアの選手はすでに技に入っていたので、非はサレにあったといえる」と語った。

 だが見守っている観客のほとんどは北米人だ。先に起き上ったシハルリゼは敵国のロシア人で男性。うずくまったままのサレはカナダ人でしかも女性である。これはどう考えても、シハルリゼが悪者にされると私は危惧した。

 シハルリゼもその瞬間、同じことを思ったに違いない。明らかに動揺して青ざめていたものの、自分の呼吸を整える間も取らずにサレの元に駆け寄り、助け起こそうと手を差し伸べた。サレは体を振ってその手をはらいのけ、事故に気がついたパートナーのデヴィッド・ペルティエが飛んでくるとようやく彼に助け起こされるようにして立ち上がった。彼女は完全に被害者を演じているようだった。

 直前にこの事故があり、しかも滑走順はカナダより先。状況はロシアに不利だった。

 曲はマセネの「タイスの瞑想曲」である。指先まで神経が行き届いた彼らの演技にぴったりの透明感のあるメロディだ。最初の難関、サイドバイサイドの3回転トウを無事に着氷してほっとしたのもつかの間、次のダブルアクセルでシハルリゼの着氷が乱れた。だがその失敗を引きずることなく、残りは大きなミスなく優美なプログラムを滑りきった。観客たちはこの時点で、彼らに暖かい拍手をおくった。

 サレ&ペレティエが続いた。音楽は映画「ある愛の詩」のテーマである。私生活でもカップルである2人は悲劇の恋人達を演じきり、ノーミスで演技を終えるとペレティエは跪き、氷にキスした。嵐のようあ拍手と歓声。2人はこのとき、自分達が優勝に疑いを抱いていなかっただろう。

 だが得点が出ると、5対4の僅差でロシアがトップを保ったことがわかった。ロシアに入れたのは、ロシア、ポーランド、ウクライナフランス、中国の5ヵ国のジャッジ。カナダに入れたのは、カナダ、アメリカ、日本、ドイツのジャッジだった。

 歓声はその瞬間満場のブーイングに変わり、サレは両手を広げると悔し涙をこらえながら肩をすくめた。

ジェイミー・サレー&デヴィッド・ペルティエはケベック州出身のフランス系カナダ人のペアで、プライベートでもカップル。その後、結婚したけれど、4年半しか結婚生活は続かなかった。

結婚の破綻の原因はやはりこの塩湖五輪採点事件なのだろうかねえ。

接触事故の非は、五十嵐文男さん曰く、どちらかと言えば、サレ側にあったと。シハルリゼが手を差し伸べたにも関わらず、サレはその手をはらいのけたというから、かなり気性の激しい人だなあと思う。

カナダは一時、シングルの有望な選手がいなくて、その間アメリカがメダルを席捲していた。ロシアはペアは強いけれど、女子シングルは空白地帯だった。

今はネイサンが出て来たけれど、アメリカは男女ともシングルがごっそり抜けた状態になった。ペアとアイスダンスも強豪国じゃなくなった。

経済的に余裕がなくなったのか?がたいがでかい人ばかりで、フィギュアスケートに向かないのか?フィギュアスケートをアメリカ人がしなくなった。

以前は、北米VSロシアという状況だったのが、守るべき選手がいなくなったので、政治的な力も入れる必要がなくなったように見える。
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