ソウル大学教授が「慰安婦性奴隷説」を全否定①

絶絶望の韓国、悲劇の朴槿恵(月刊Hanadaセレクション)
「ソウル大学教授が「慰安婦性奴隷説」を全否定」  西岡力


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西岡力(にしおか つとむ) 東京基督教大学教授

 「日本軍が朝鮮人女性を慰安婦にするため、強制連行しただって。何をバカなことを言ってるのだ。当時の朝鮮は貧しかった。貧乏のため、娘を女衒(ぜげん)に売らざるを得ない親が多くいた。貧しい農村に日本人は入っていけない。朝鮮人の女衒が女を買っていった。日本の軍隊の連行など必要なかった」

 一九九二年、私は朝日新聞の悪質な誤報で突如浮上した慰安婦問題を取材するためにソウルに行った。そのとき、面会した多くの韓国人年長者が口を揃えて語っていた。

 皆、日本統治時代を直接経験した世代。元野党国会議員、元大新聞の編集局長、大学教授らだった。

 私は一九七七年から七八年にかけて韓国に留学したが、そのとき、親しくなった韓国人学生らは徴兵に行く直前、売春宿に行って経験を済ませる、と躊躇(ためら)いなく語っていた。

 七〇年代でも、貧困のために前借金をして私娼窟(ししょうくつ)で働く女性たちが多く存在した。そのような女性を主人公にした映画も多かった。これが、私にとって慰安婦問題を考える原点だった。

 だから私は一貫して、「慰安婦」は歴史上に存在したが、解決しなければならないことが残っているとう意味での「慰安婦問題」は、朝日新聞が誤報キャンペーンをする以前は存在しなかった、と主張してきた。

 「慰安婦問題」とは、国際社会に広まった事実無根の誹謗中傷をいかに解決するかという問題である。

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李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学教授

 ソウル大学経済学部の李栄薫教授が二〇一六年八月、インターネットの連続講義のなかで実証的に語った内容は、まさに私があのとき、ソウルで聞いたのと同じものだった。

 「慰安婦制度は軍の統制下にあった公娼制度だ」

 「慰安婦は性奴隷ではない」

 「朝鮮人慰安婦は前借金や詐欺によって女衒が集めた」

 「朝鮮人慰安婦二十万人説は根拠がない、五千人ぐらいだ」


 このネット講義を視聴しながら、やっと当たり前の議論が韓国の学界に出てきたな、と感慨深かった。以下、李教授の抗議内容を詳しく紹介しよう。

 なお、本稿は李教授の韓国語でのネット講義を西岡の責任で紹介したもので、翻訳や要約などについての全責任は西岡にある。

学問的良心に従った発信

 李教授は韓国経済史が専門で、日本の統治時代に韓国経済は成長したとする植民地近代化論の旗手で、韓国の歴史教科書が左傾偏向しているとして教科書改善運動の先頭に立ってきた学者の一人である。

 たとえば、李教授は二〇〇七年に韓国で出版した『大韓民国の物語』(日本語版は二〇〇九年、文藝春秋から出版された)で次のように書いている。

 〈教科書には「日本は世界史において比類ないほど徹底的で悪辣(あくらつ)な方法で我が民族を抑圧し収奪した」書いてあります。

 敢えて私は言います。これは事実ではありません。たとえば、米の半分が日本に輸出されたのは総督府が強制したからではなく、日本内地の米価が三十%程度高かったからです

 しかし、同書でも慰安婦については、李教授の主張は歯切れが悪かった。同書出版の二年半ほど前に当たる二〇〇四年九月、李教授はあるテレビ討論番組で、野党議員から「慰安婦を公娼という日本の右翼の主張と同じだ」批判され、それをインターネット新聞が「李栄薫が慰安婦を公娼と呼んだ」と報じて、凄(すさ)まじい抗議を受けたことがある。

 そのせいか、李教授は同書でも自分は慰安婦を公娼だなどとは発言していないと弁明しながら、慰安婦は性奴隷だったと書いていた。

 しかし同書出版から九年経って、二〇一五年一二月に日韓両国政府が慰安婦問題に関する合意を結び、過半数以上の元慰安婦がそれを支持しているという状況の変化のなかで、李教授はついに勇気を持って学問的良心に従った発言をしたのだ。

 李教授は二〇一六年、保守言論人の鄭奎載(チョンギュジェ)氏(韓国経済主筆)が主宰するインターネットテレビで、韓国近代史の連続講義を行った。一二回にわたってなされた「李栄薫教授の幻想の国」という講義の最終回が「慰安所の女性たち」だった。

 二時間を超える講義が、八月二十二日と二十三日に三回に分割されてアップされた。本稿執筆現在(十一月十日)、同講義は妨害を受けることなくユーチューブで自由に視聴できる。視聴回数は一万九千七百四十回だ(三分割のうち最初の回)。

 アップから二ヵ月以上経過しても、左派メディアや運動団体などから抗議を受けているというニュースはない。また、つけられているコメント六十四のうち、激しく李教授を非難罵倒するものは十一しかない。韓国社会の変化の一つと見てよいだろう。
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