絶絶望の韓国、悲劇の朴槿恵(月刊Hanadaセレクション)
「ソウル大学教授が「慰安婦性奴隷説」を全否定」


慰安婦総数の自説を開陳

 そして次に、朝鮮人慰安婦の総数について論じる。韓国で教科書や学者らが主張する二十万説を次のように否定する。

 「朝鮮人慰安婦二十万なら、日本人、中国人まで合わせると数十万になる。日本軍二百五十万が慰安婦五十万を連れていたとは話にならない

 そして次の三つの推計で、朝鮮人慰安婦は五千人程度と主張した。第一の推計は、慰安所の数をもとにした推計。金原節三(きんばら せつぞう)軍医大佐日記にある慰安所の地域別分布と、先に見た総督府出張所の文書から見た北支の朝鮮人慰安婦の推計を使う。

 慰安所総計五百ヵ所、慰安所が百ヵ所あった北支で朝鮮人慰安婦が一千人いたので、ここから全体で五千人、これに日本と朝鮮の慰安婦数を加えても五千五百人程度。

 第二は、サック数を基準にした推計。一九四二年に日本軍人に支給されたサックの総数は三千二百十万個、一日八万八千個だった。先述のとおり、慰安婦が接触する兵士の数を一日五人とすれば慰安婦の総数は一万七千六百人で、朝鮮人はそのうち二割とすると三千五百二十人、三割ならば五千二百八十人。

 第三は、兵士対慰安婦の数を基準とした推計。慰安婦一名に対する兵士数に関する一般的な報告は百五十名で、日本軍総二百五十万人に相当する慰安婦数は一万六千名となる。交代比率は満州と中国では一・五、南方ではゼロと仮定した場合、慰安婦総数は二万人。朝鮮人慰安婦はその二割で四千人、三割で六千人。

 以上のような推計をしたあと、朝鮮人慰安婦は四千人くらい、多くても六千人だという自説を開陳して、「数十万人、数万人という数字はまったく正しくない数字だ」明言する。

NGO活動の問題点を指摘

 一番末尾で、李教授は講義をこう要約した。「一九九一年以降、いままで二十五年間、この問題がどのように進行してきたかについて話せば切りがありません。私の話はここで終わりにします。現実的に、韓国挺身隊問題対策協議会を中心にしたNGOの活動がどのような成果を得て、どのような問題点を抱いているのかについて、話をしません」

 「歴史的背景と制度的環境におなかでこのことが展開したのかということと、それに対して過激な性奴隷規定だとか数字推定について客観的に多くの問題があることを話しました」

 NGOの活動に問題点があった、と李教授は主張した。

 李教授が講義で批判した、過激な主張を政治的に利用して日韓関係を悪化させたのが日韓の活動家たちだ。私はずっとそう主張してきた。できれば李教授からもその部分の見解を聞きたかった。

 講義を通して聴いて、李教授の知的誠実さと学問的勇気に強き心を打たれた。早くこの講義が一冊の本にまとめられ、それが日本語でも読めるようになってほしいと強く願っている。   (了)


にしおか つとむ
一九五六年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。八二~八四年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。九〇~〇二、月刊『現代コリア』編集長。現在、東京基督教大学教授。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」会長。著書に『よくわかる慰安婦問題 増補新版』(草思社)など多数。
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